難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を知ってもらうために。

身体が動かなくなっていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を46歳で発症した夫を通して学んだこと。

ALS(筋委縮性側索硬化症)再生医療を行ってみて

 私の夫はALS(筋委縮性側索硬化症)です。

一般的にALS患者に対する治療(リルゾール、ラジカット)は行っていましたが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)は進行し続けました。

 

 最初は右手の指先が動かないことから始まり、次第に右腕を上に上げること、右腕を自由に動かすことができなくなりました。

右腕の自由を失った後、左手にも症状が現れ始めました。

 

そんなときに「ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する幹細胞治療ができる」というインターネット記事をみました。

 最先端の医療である再生医療で細胞から治療すれば根治できないとされたALS(筋萎縮性側索硬化症)も克服できるのではないかと考えました。

 そこで、都内でALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する再生医療を行っている病院で再生医療を受けることに決めました。

 

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 【ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する再生医療の流れ】

 

① 初回カウンセリング

 まず、初回受診時に主治医から再生医療についての説明がありました。

・ALS(筋萎縮性側索硬化症)は進行性の病気のため、幹細胞再生医療での治療後も進行する。

・ALSに対する再生医療の実績が少ないため、先進医療として厚生労働省に認められていないので、全額自己負担となること。

・今まで、この病院で5人再生医療を受けて、経過観察できている患者は3人。

1人は車いすの状態だったが、歩けるようになった人、2人目は再生医療前より進行速度がゆるやかになった人、3人目は進行が進み、人工呼吸器を装着している人がいるということ。

結果として、三者三様であり、再生医療が確実にALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状を改善させる保証はないということでした。

 

② 神経内科医により現状の症状の確認

 再生医療をする前の身体の状態を確認するため、身体の動きの確認と生活状況の確認などを行いました。

 再生医療での治療後も2カ月ごとに神経内科医による身体の状態確認が行われることになります。

 

 ③ お腹の皮下脂肪から細胞を接種する。

 カウンセリングを経て、再生医療を受けることを決めた場合、お腹の皮下脂肪から細胞を接種する処置をしました。

 痛みもあり、処置当日は入浴はしないこと、安静にすることを注意されました。

痛み止め、化膿止めの薬も処方されました。

そして、皮下脂肪から細胞を接種したその日に治療費全額を支払います。

 

 ④ 病院内で接種した細胞を培養する

 病院内の培養室にて細胞を培養し、幹細胞を1億個ほどに増やします。

培養する幹細胞の数は患者の体重に比例し多くしていくそうです。

治療に必要な幹細胞の数まで培養するために大体4週間ほどかかるそうです。

 

 初回カウンセリングから、実際に幹細胞を静脈静注するまでに約1ヶ月の期間があります。

その間にどこまで進行するのだろうかと、心配していた1ヶ月でした。

 

次回、実際に幹細胞を投与する治療日から、再生医療を行った後の身体の状況についてに続きます。

 

 

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)と再生医療について

【ALS(筋委縮性側索硬化症)の概略】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は神経系統の病気です。

脳から筋肉を動かすという指令を伝達する運動ニューロンが死滅することにより、筋肉が痩せて、次第に動かなくなってしまいます。

 神経疾患ですので、筋肉自体には何も問題はありませんが、進行の早い病気のため、発症後2~5年程で歩けなくなってしまいます。

 発症部位は患者ごとに異なりますが、多くは手や足が動かしずらいということから始まります。

 また、話しにくい、飲み込みにくいという症状から始まる場合もあります。

いずれの症状においても、進行は早く、手足が動かなくなり、飲み込み、話しづらさの他、呼吸筋や表情筋まで動かなくなっていきます。

 呼吸障害が現れると、ALS患者は人工呼吸器を装着するかどうかを決断しなければならなくなります。

 また、ALSの進行とともに、会話が困難になってくるため、コミュニケーションをとる方法をどうするかも、QOL維持のための課題となってきます。

 

・ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療法と治療薬

   現在日本でALS(筋委縮性側索硬化症)の治療薬として認可されているものは2種類あります。

 錠剤リルテック(リルゾール)と点滴薬ラジカット(エタラボン)ですが、どちらもALSw根治させる薬ではありません。

 残存余命もしくは人工呼吸器装着までの期間を数カ月遅らせる効果があるのみです。

ALS(筋委縮性側索硬化症)において、新たな薬や新しい治療法の開発が待たれているところです。

 

・ALS患者の置かれている現状

  現在、日本国内にはALS(筋委縮性側索硬化症)患者は10万人弱いると言われています。

高齢男性に多く発症するALS(筋委縮性側索硬化症)ですが、近年では30代や20代での発症も見られます。

また、患者の多くが人工呼吸器装着による延命を避け発症後5年程でなくなる方多く見られます。 

 ALS(筋委縮性側索硬化症)の患者の多くは在宅での看護、介護を受けながら日常生活を送るため、24時間対応できる社会サービスの整備が求められています。

 

【幹細胞による再生医療とは】

  ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療において、幹細胞を用いた治療が症状を回復させることや、進行を遅らせることが学会で報告されています。

 

再生医療とはなにか

 再生医療とは、けがや病気により失ってしまった機能を、薬などの化合物で治すのではなく、本人の細胞の再生する力を使って、身体をもとに戻すことを目的とした医療です。

 失われた組織や臓器を根本的に元に戻すことを目指していて、今までの治療とは異なる観点からアプローチしていく新しい治療法です。

 

・ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療のための再生医療保険診療ではない

  再生医療は様々な病気、症状を治療できるのかどうかを、まだ模索している段階です。

そのため、多くの再生医療が保険適用外となっています。

日本で保険診療で受けられる再生医療は「自家培養表皮(重症熱傷および先天性巨大色素性母斑)」「ハートシート(心不全)」「テムセル(急性GVHD)」になります。(2018年6月現在)

 ALS(筋委縮性側索硬化症)のための再生医療は、保険適用外となっています。

 

・ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療のための再生医療は先進医療でもない

  先進医療とは「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養」と定めています。

保険診療の範囲を超え、さらに厚生労働大臣の認可を経た治療法が先進医療とされています。

先進医療のなかで健康保険適用外の部分に関しては自己負担となりますが、高度療養費制度や生命保険の先進医療特約なども利用でき、自己負担額を軽くすることもできます。

 しかし、ALS(筋委縮性側索硬化症)に対する再生医療は先進医療としての厚生労働大臣の認可がありません。

 よって、ALS(筋委縮性側索硬化症)のための再生医療は全額自己負担となるのが現状です。

  

 次回、実際に私の夫が行ったALS(筋委縮性側索硬化症)の再生医療についてに続きます。

 



 

カシューナッツ 筋萎縮性側索硬化症になって試したこと

 

私の夫はALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病です。

運動ニューロンが障害されることで、身体中の筋肉が痩せて動かなくなってしまいます。

現在、根治できる治療薬が無く、国指定の難病疾患です。

 

 そんな私の夫も、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行を少しでも遅らせりために、色々なものを試してきました。

 少しずつ紹介していきたいと思います。

 

【食べ物でALSの進行が変わるのか】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)には2種類の薬があります。

一つは飲み薬のリルゾール、もう一つは点滴薬のラジカットです。

 2種類しかない薬ですが、どちらもALS(筋委縮性側索硬化症)を根治はできず、病気の進行を遅らせることを目的としています。

 では、ALS(筋委縮性側索硬化症)を根治することはできないのでしょうか?

何かALS(筋委縮性側索硬化症)の進行を遅らせることのできる食べ物はないだろうか?

そう思い食べてみた食品があります。個人の体験に基づいています。感想や効果は個人差があります。

 

【ALS患者の細胞内で起きていること】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)の患者は「筋肉を動かせ」という脳からの命令を伝える役目をする運動ニューロンが障害される病気です。

 運動ニューロンの細胞内で、遺伝子の働きの強弱を調節するタンパク質「TDP-43」が変性し、蓄積することがALS患者の9割で確認されているという報告があります。

 さらにDP-43の影響で運動神経の突起も短くなっているという特徴がALS患者の細胞にはあるとされています。

 

【ALS患者特有のTDP-43タンパク質の発現量を減らし神経突起の長さを回復する効果のあるアナカルジン酸】

 2012年、京都大学ips細胞研究所の井上治久教授らの研究グループは、ALS(筋委縮性側索硬化症)患者の細胞から作ったips細胞から新薬の候補となるアナカルジン酸を発見しました。

 カシューナッツの殻から抽出した「アナカルジン酸」はTDP-43タンパク質の発現量を減らし神経突起の長さを回復する効果があったとされています。

 ALS患者のTDP-43タンパク質という特異的なたんぱく質が凝集され、そのことにより神経細胞の形成させる遺伝子の働きにも異常を生じさせている。

 アナカルジン酸自体がそのままALS(筋委縮性側索硬化症)の新薬になるとは限らないが、「回復」という言葉を使用した発表だったため、ALS患者やその家族はアナカルジン酸に大きな期待を寄せていました。

 

● アナカルジン酸とはどのようなものか

 アナカルド酸はウルシやウルシ科の植物であるカシューナッツに多く含まれています。

カシューナッツの殻からアナカルド酸を含む殻液が抽出され、抗菌作用など有益な作用があることが知られています。

 【アナカルジン酸が含まれている食べ物とは】

● カシューナッツ

カシューナッツの殻に多く含まれているが、カシューナッツの殻と種子の間に強い毒性を持った液体が含まれているため、カシューナッツの殻は流通してません。

ローストしてから販売されるカシューナッツと、あまりローストしていない生カシューナッツの2種類が流通しています。

 

カシューナッツに含まれる栄養分の40パーセント以上は脂質が占めている

脂質は身体のエネルギー源となり、人が生活するうえで欠かせません。

1粒当たりのカロリーは約9kcalと豊富です。栄養補給に適した食品です。

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)において重要になるタンパク質を合成する亜鉛が多く含まれている

カシューナッツにおける亜鉛の含有量は5.4㎎となっています。

ゴマやカボチャの種に次いで亜鉛の含有量が多くなっています。

亜鉛は必須ミネラルです。味覚を維持する栄養素ですが、タンパク質の合成や遺伝子の伝達に必要です。成長の促進や傷の回復など、細胞の生まれ変わりに必要とされています。

 

カシューナッツを実際に食べてみての感想】

 

カシューナッツを食べ始めた頃の身体の状態は、右腕が少し上がり、親指が少し動く程度でした。

仕事では主にパソコン作業でしたが、ほとんど右手は使わず、左手のみで作業をしていたようです。

 カシューナッツを食べ始めると、右手の人差し指が少しずつ動くようになり、パソコンのエンターボタンを押すこともできるようになりました。

 

 また、私から見ても、カシューナッツを食べ始める前は少し声が聞き取りにくくなっていて、何度か聞きなおしをしていたのを覚えています。

それがカシューナッツを食べ始めてから、そんなことはなくなって、普通にしゃべっていました。

 実際に効果をしっかり感じ取れたカシューナッツでした。

 

カシューナッツを食べたその後】

アナカルジン酸がALS(筋委縮性側索硬化症)の薬となるか、まだわかりません。

カシューナッツを食べ続けていましたが、薬とは違います。

ALS(筋委縮性側索硬化症)の進行は進み続けているのが現状です。

しかし、発症から1年半、確定診断から8ヶ月間ずっと車の運転ができる状態を維持できたのは、カシューナッツのおかげだと思っています。

 

 

 

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)において筋肉の状態とは。

ALS(筋委縮性側索硬化症)は身体中の筋肉が痩せて、次第に動かなくなっていく病気です。上肢、下肢、喉、舌の筋肉だけでなく、呼吸を司る筋肉まで動かなくなってしまうため、ALS患者は人工呼吸器よる延命が必要になります。

 では、ALS(筋委縮性側索硬化症)は筋肉の病気なのでしょうか?

 

[なぜ、筋肉が動かなくなるのか?]

 まず、ALS(筋委縮性側索硬化症)は筋肉の病気ではありません。運動神経の病気です。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)が発症すると、身体を動かす神経系が変性していきます。

人が「手を動かしたい」と思うと、脳の運動神経細胞(上位ニューロン)が伝達の役目を果たします。

 上位ニューロンは「手を動かしたい」という指令を下位ニューロンに伝達します。

下位ニューロンはこの命令を手の筋肉に伝えます。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)では、この上位ニューロンと下位ニューロンの両方の運動神経細胞が障害されるます。上位・下位ニューロンが共に壊れていくことで、結果的に筋肉が動かなくなるのです。

 なので、ALS(筋委縮性側索硬化症)は筋肉自体に病変があるわけではありません。

筋肉自体は健常なのですが、運動しようとする命令を伝える運動ニューロンの病気なのです。

 

[ALS(筋委縮性側索硬化症)において筋肉はどのように変性していくのか?]

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は運動神経の病気なので、筋肉自体には問題がありません。

筋肉に命令を伝える運動ニューロンが障害されると、その運動神経細胞の伝達で動くはずだった筋繊維は動かすことができなくなり、細くなってしまいます。

運動ニューロンが伝える先の筋繊維はグループとなって「動かす」という命令を受けています。運動ニューロンが障害されると、筋繊維がグループ(束)で痩せてしまいます。

今まで100パーセントの筋繊維で腕を動かし、物を持ち上げていましたが、ALS(筋委縮性側索硬化症)が発症し、筋肉が痩せていくと、動かなくなった筋繊維を除く80パーセントの筋繊維のみで腕を動かさなくてなならなくなります。

 しかも、障害された運動ニューロンと同じ場所へ「動かせ」という命令を伝達する運動ニューロンが障害されていきます。

 なので、一度腕の筋力が低下し始めたら、動く筋繊維は80パーセントから50パーセントへ。そして30パーセント、10パーセントと、徐々に減っていってしまうのです。

 結果として、例えば右腕から発症した場合、右腕が動かしにくいところから始まり、そして腕を上げることができなくなり、ついには右腕を動かすことができなくなってしまうのです。

 

[運動ニューロンの障害の典型的なパターンとは]

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)は患者個人によって進行のスピードも、症状の出方も異なると言われています。

その中でも、典型的な進行のパターンだあります。

 

まず、どちらかの足から始まることが多いようです。

歩きにくい、足がつる、疲れやすいなどの自覚症状が現れます。

そして同じような症状が反対の足にも現れてきます。

 手から始まるパターンも同様に、一方の手が開きにくい、指が動かしにくいなどの症状が現れ、腕が上がらなくなっていきます。

 そして、反対の手にも広がって行きます。

 

手足から始まる症状の特徴として、身体から遠い指から筋肉が痩せていくようです。

指先が動かしにくくなり、手足を高く上げることができなくなります。そして手足全体が動かなくなります。

 

手足に症状を感じた後、飲み込みにくいと感じるようになります。

これは、喉た舌の筋肉が痩せてくるからです。

次第に口腔内の筋力低下から、呼吸筋も低下していきます。

発症から2年から5年で身体中の筋肉が動かなくなっていきます。

 

[ALS(筋委縮性側索硬化症)において、障害されにくい筋肉もあるのか?]

 発症から2年から5年かけて、身体中の筋肉が動かなくなっていきますが、中には障害されにくい筋肉もあります。

 ・ 目

表情を作る表情筋も進行の後半には動かなくなってしまいますが、眼球を動かす筋肉は最終的にある程度残ることが多いようです。

 そのため、眼球の動きを利用して意思伝達装置を動かすことができます。

しかし、瞼を開けたり閉じたりする筋肉まで動かなくなってしまうと、眼球の動きを読み取ることができなくなってしまいます。

 

 ・括約筋(尿道や肛門を締める筋肉)

 肛門をきゅっと締める筋肉を括約筋といいます。ALS(筋委縮性側索硬化症)ではこの括約筋は障害されにくいようです。

そのため、無意識に排便してしまう、不意な尿漏れなどは起きにくいようです。

 

・知覚障害、感覚障害

 ALS(筋委縮性側索硬化症)では身体中の筋肉が動かなくなることによって、しゃべりにくくなります。

また、呼吸筋の衰えにより、人工呼吸器を装着した場合、言葉を発することができなくなります。

 コミュニケーションが取りにくくなりますが、知覚障害・感覚障害はありません。

すなわち、話ができなくても、周りの人が話していること、自分の置かれている状況はしっかり理解しています。思考は健全なのです。

 また、皮膚を触られた感覚や、かゆみ、痛みなどもしっかり感じています。

 

[まとめ]

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は筋肉は健全ですが、筋肉に「動く」という命令を伝える運動ニューロンが障害され、結果として筋肉が動かなくなってしまう神経の病気です。

 病気の進行は身体から遠い部位(手や足の指先)から始まり、2年から5年かけて呼吸筋を含む身体中の筋肉が動かなくなってしまいます。

 比較的、最後まで動く部位は眼球と括約筋(肛門や尿道を締める筋肉)です。

また、知覚障害、感覚障害は無いので、思考や皮膚感覚ははっきりとしています。

 

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)が疑われたら、早めに病院に行った方がいい理由とは?

ALS(筋委縮性側索硬化症)は患者数も日本では10万人程度と少なく、また、根治ができる治療薬や治療法のない病気です。運動神経を司る運動ニューロンが死滅してしまうことによって、筋肉が次第に痩せていき、身体が徐々に動かせなくなっていく、難病です。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は患者それぞれによって発症部位や進行のスピードが変わります。

また、社会的に認知度の低い病気のため、症状が現れても診断されるまでに時間が掛かるのです。

 

【ALS(筋委縮性側索硬化症)はどの診療科目で診断されるか?】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は神経内科で診断され、治療が受けられる病気です。

なかなか聞きなれない神経内科神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉が原因で、身体に不自由な症状が現れる病気を取り扱う診療科目です。

 日本神経内科では、今まで神経内科と呼称されていましたが、脳神経内科と診療科目名を変更していくことになっています。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は運動ニューロンが死滅していく病気なので、脳神経内科神経内科で診断が下されます。

 

【ALS(筋委縮性側索硬化症)の症状が現れても、他の診療科目に受診してしまうのが現状】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)の初期症状は話しにくい、飲み込みにくい、腕が上がらないなど、身体の動かしにくさとして表れてきます。

 他の病気のように、痛みや出血などを伴わないので、どの診療科目を受診すればよいのか、患者本人も迷ってしまうのです。実際に、話しにくさや、のどの違和感を感じて耳鼻咽喉科を受診した、腕や足が動かしにくいので、整形外科を受診した、どこに受診すればよいかわからず、かかりつけ医に相談した患者が多くいます。

 どの診療科目であっても、その担当医がALS(筋委縮性側索硬化症)を疑い、脳神経内科神経内科を紹介し、受診できれば問題ないのです。

 

 では、ALS(筋委縮性側索硬化症)のような症状を自覚したら早めに病院に掛かった方がよい理由とは何でしょうか?

【ALS(筋委縮性側索硬化症)という診断が早くつく】

ALS(筋委縮性側索硬化症)という病気は根本的な治療薬はないとされていますが、進行を遅らせる薬はあります。

 一度機能を失ってしまった部位を再び動かせるようにすることは困難です。

しかし、ALS(筋委縮性側索硬化症)の進行が進んでいない初期の状態から薬を服用することで、少しでも長く、身体の動ける期間を長くすることができるのです。

 実際、発症から1年未満の初期の状態から、薬を投与された患者の方が進行が遅くなるという結果も出ているのです。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)を疑われるような症状が現れたら、できるだけ早く治療できるように、受診をお勧めします。

 

【治験に参加しやすくなる】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は根治できる治療法はありません。

しかし、日々医療は進歩し、ALS(筋委縮性側索硬化症)に関してもたくさんの治験が始まっています。

 それらの治験には対象となる治験参加者にそれぞれ適格基準が設けられています。

ALS(筋委縮性側索硬化症)の進行の具合、呼吸の状態、日常生活の様子など、治験ごとに適格基準が異なります。

しかし、多くの治験は発症から2年未満、呼吸、日常生活共に自立している方を対象とする場合が多くなっています。

 また、治験に参加するためには治験を行っている病院まで何度も通院しなくてはなりません。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)が進行していくと、通院するためにも様々な困難が生じてきます。

 やはり、そういった面から考えても、発症の初期で、自立度の高い患者の方が治験には参加しやすいと思われます。

 早めに受診し、ALS(筋委縮性側索硬化症)と診断を受けることで、治験参加への道も広がっていくのです。

 

【ALS(筋委縮性側索硬化症)と診断された後、病気の受容にかける時間が長く取れる。】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は徐々に身体が動かなくなっていき、最終的には呼吸する機能も低下します。患者と家族は呼吸機能が落ちた時、人工呼吸器を装着するかどうかの選択をしなくてはなりません。

 また、

 病気の進行と共に身体が動かなくなっていくため、介護が必要になってきます。

ただ身体の動きがおかしいと思っていただけなのに、ALS(筋委縮性側索硬化症)という難病だった。

 患者本人にとっても、家族にとっても、受け入れがたい病気だと思います。

それでも病気は容赦なく進行していきます。

 ALS(筋委縮性側索硬化症)があまり進行していない、少しでも早い段階でALS(筋萎縮性側索硬化症)とわかれば、今後について考える余裕ができてきます。

 病気の受容にはとても時間が掛かりますが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を知り、今後を考えていくことも大切なことだと思います。

 

障害年金の受給には初診日が重要になってくる】

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の場合、病気の進行によって身体を動かす機能が失われます。

その状態によっては、障がい者認定を受け、障がい者手帳を持つことができます。

障害年金の申請において重要になってくるのが、初診日です。

初診日とは、障害を持つことになった原因となる病気、けが、事故等において、最初に病院を受診した日のことです。

この最初に受診した病院は、病気などが確定診断された病院ではなく、その病気に関する受診の最初の日になります。

 例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された病院よりも前に、腕が上がらないと整形外科を受診していれば、その整形外科に受診した最初の日が初診日となるのです。

 この初診日から1年半後が障害認定日となり、障害年金を受給することができます。

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行し、働くことが難しくなった時。

障害年金という公的年金に頼らざるを得ない場合もあります。初診日から1年半後が障害認定日となるため、初診日が少しでも早い方が、障害年金の受給開始も早くなるのです。

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)を疑うような症状が現れた場合、一日でも早く受診することで、その後のマネープランも大きく変わってくるのです。

 

ALS(筋委縮性側索硬化症)が疑われる症状とはなにか?

 身体が動かなくなっていく神経難病ALS(筋委縮性側索硬化症)。

運動ニューロンが死滅してしまうことが原因で徐々に身体が動かなくなってしまいます。

 日本での患者数は10万人程しか居ませんが、1年間で新たにALS(筋委縮性側索硬化症)を発症する人は10万人当たり1〜2.5人です。男性に多く発祥し、発症年齢は60代後半から70代での発症が多いです。

 

 珍しい難病ではありますが、平均寿命が延びたことに伴い、患者数も年々増えています。また、若い世代での発症も見られ、いつだれが発症してもおかしくない病気なのです。

 【ALS(筋委縮性側索硬化症)の初期の自覚症状は?】

 ALS(筋委縮性側索硬化症)が発症すると、身体が動かなくなっていきます。

しかし、ある日突然ピタッと動かなくなるのでありません。初期には「身体が何だかおかしい」という自覚症状が現れます。この自覚症状は個人差が大きく、また、発症部位によって大きく変わってくるのです。

以下によく見られる初期の自覚症状をまとめます。

 

・指先が動かしにくくなる。

・肩が上がらなくなる。

・箸が持ちにくくなる。

・身体が疲れやすくなる。

・なんでもないところで転びやすくなる。

・話しづらさを感じる。

・飲み込みにくくなる。

 

上記のような症状を感じた場合、必要がないと思っても、受診をおススメします。

 身体に異変を感じていても、「なんとなく、今日は動きにくいだけ」「疲れがたまっているから」「年のせいかな」と受診を先延ばしにしてしまうALS患者も多いのです。

実際に、症状に気付いても受診までに1年以上掛かるALS患者もいます。

 また、ALS(筋委縮性側索硬化症)は病名の診断が確定するまで、長い期間を必要とすることがあります。進行していく病気だからこそ、早めに受診することが大切です。

 

 

【ALS(筋委縮性側索硬化症)の患者が最初に受診した診療科目はどこか?】

 実際にALS(筋委縮性側索硬化症)と確定診断する診療科目は神経内科です。

しかし、ALS(筋委縮性側索硬化症)という病気は患者数も少なく、社会において病気の認知度が低い病気です。また、患者ごとに発症する部位や進行のスピードは異なるので、最初に受診する診療科目が神経内科ではないことのほうが多いのです。

 

 例えば、腕が上がらない、足に力が入らないなど、手足に症状がでた方は整形外科を受診しています。

 また、飲み込みづらさや、話しにくさなど、口やのどに違和感がある方は、耳鼻咽喉科などを受診していることもあります。

 普段から定期受診している内科に相談する方もいることでしょう。

病気とその症状が世間に知れ渡っていない病気だからこそ、どこの病院を受診すればよいかわからず、神経内科を受診するまでにいくつもの病院を受診することになってしまうのです。

 

【まとめ】

ALS(筋委縮性側索硬化症)という病気は患者数も少なく、また発症の仕方や病気の進行の状況もALS患者ごとに異なります。

それなので、世間一般にALS(筋委縮性側索硬化症)の認知度は低く、初期症状を自覚しても受診までに時間が掛かることがあります。

 手足に違和感を感じ、筋肉が痩せてきてしまったり、飲み込みや話しづらさなどを感じた場合は神経内科を受診しましょう。

 早めに受診し、診断が確定することで、今後の人生設計を考え直す時間が取れる、投薬効果が大きくなる、治験に参加しやすくなるなど、多くのメリットがあります。

自分自身や家族の今後に大きな影響を与える病気だからこそ、身体の異変に敏感になっていただきたいのです。

 

 

 

 

 

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ALSにおける治験について

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は進行を遅らせる薬が2種類あるのみで、根本的な治療薬のない病気です。患者は日本でも10万人ほどしかおらず、難病指定されています。

  長い間治療法のない病気とされていましたが、最近では「アイスバケツチャレンジ」などの運動からALS(筋委縮性側索硬化症)への認知、理解が広がりつつある。

 そして、ALSに関する治験も順次始まっています。

 

  【ALSに対して行われている治験】

 ① 幹細胞増殖因子(HGF)第Ⅱ相試験

 

 東北大学大学院と大阪大学大学院と共同でALS患者を対象とする幹細胞増殖因子(HGF)組み換えタンパク質の第Ⅱ相試験を実施しています。

 HGFは幹細胞の増殖因子として発見されました。HGFには運動神経細胞を保護する作用もあり、難病神経疾患への治療薬としての創薬が期待されています。

 HGF組み換えタンパク質を医薬品化するための第Ⅱ相試験を行っています。


 ② メコバラミン第Ⅲ相試験

  メコバラミンはは活性型のビタミンB12であり、末梢性神経障害などの治療薬として1回0.5㎎の容量で保険適用で使用されています。

 ALSに対して1回25㎎または50㎎の高容量メコバラミンを筋注することにより、平均余命(呼吸補助装置の装着あるいは死亡まで)を600日以上延長することが可能であることが分かりました。

 ただし、この結果は、ALS患者全体集団(投与期間最大3.5年、症例数370例)では有意差はありませんでした。しかし、ALS発症後年以内の軽症の患者に対して優位な結果を表しており、安全性も確認されています。

 そのため、今回の第Ⅲ相試験においてはALS発症後1年以内の患者を対象に治験が行われています。

 

③ ロピニロール第Ⅰ/Ⅱa相試験

 慶応義塾大学ではiPS細胞を用いた創薬技術を応用し、ロピニロール塩酸塩がALSにに対して有効であることを発見しました。

 ロピニロール塩酸塩はこれまでパーキンソン病の治療薬として使用されている既存薬です。ロピニロール塩酸塩は神経保護効果があります。

 今回、家族性ALS患者由来の血液細胞からiPS細胞で運動ニューロンを作成し、ロピニロール塩酸塩を作用させた結果、神経細胞突起の短縮、アポトーシスの増加、ミトコンドリア機能障害、異常タンパク質凝集、酸化ストレスの亢進といったALS病態が改善することが分かりました。

 さらに、ALSの原因である運動ニューロン神経細胞死を抑制する効果もあることが分かりました。

 

【まとめ】

 ALSに関する治験は現在も行われています。しかし、治験には多くの費用と時間が必要です。ALS患者も治験には参加したいという思いが強くあったとしても、病気の進行により、次第に身体が動かなくなっていきます。

そのため、通院を続けることが難しくなり、治験を断念せざるを得ない場合もあります。

 また、各治験には治験対象患者の条件があります。

治験に参加したいと思っても治験に参加できない患者は多くいるのです。

 根本的な治療薬のないALS患者にとって、新薬は希望です。

治験、承認を経て、新たな新薬が多くのALS患者の手元に届くことを願っています。