難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を知ってもらうために。

身体が動かなくなっていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を46歳で発症した夫を通して学んだこと。

ALSの再生医療を行ってみて②

 ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療のための幹細胞をもちいた再生医療を今年1月に行いました。

 その時の体験記を綴ってみます。

 

 

 初回診察時に主治医からのカウンセリングを受けました。

そして次の受診時に神経内科医から、再生医療での治療前の身体の状態の確認がありました。

そして、再生医療を行うことを決断し、お腹の皮下脂肪から細胞を接種しました。

 

 

【幹細胞を培養で増殖させる】

 細胞を接種してからは、病院で幹細胞を培養します。

私たちは、日常生活を送りながら、必要数の幹細胞が培養されたという連絡が来るのを待つのみです。

 

・幹細胞とは

 幹細胞とは、傷ついた細胞を修復し、死んでしまった細胞を補う力があります。

幹細胞が細胞分裂し、新たな細胞を作り出すことによって、ヒトの身体を健康に保っているのです。

 

 私の夫が脂肪から細胞を接種したのは12月半ばだったため、年末年始のお休みがありました。

その期間は細胞の培養もお休みになり、培養中の細胞も冷凍保存されていたそうです。

年が明け、細胞の培養が再開されました。

 

 そして、1月半ばに病院から「静脈静注できるだけの細胞が培養できました。」と連絡が入りました。

 そして、今年1月18日に皮下脂肪から接種した細胞を培養し、幹細胞を静脈静注する再生医療を実施することになりました。

 

再生医療治療当日の様子】

 都内の病院までは自宅から電車で3時間ほどかかります。

カウンセリング、神経内科医の受診時にその病院に行った時も電車でした。

毎回、私は夫がしっかり歩けるか、満員電車で立っていられるか、心配していました。

しかし、最初の2回の電車での通院は意外にあっさりとしっかり歩け、階段もゆっくりだけど、昇り降りができました。

 そして、再生医療を行う3回目の通院時、地元駅から歩けなくなっていました。

わずか1ヶ月間の間に、足と首の筋力にALS(筋委縮性側索硬化症)が進行していたのです。

 病院までの片道3時間、往復6時間、ずっと夫を支えながら歩いていました。

まだ車椅子をもっていなかった時期だったので、車椅子の必要性を実感した時です。

 

 【再生医療を開始する前】

 病院に着いてから、主治医と話がありました。

そして、細胞の培養の過程の説明です。

皮下脂肪から接種した細胞を夫の体重60キロ前後に換算すると大体1億2千~3千個ほどの幹細胞が必要になるそうです。

 年末年始の冷凍保存期間を経て、その数まで増殖した様子を画像で確認しました。

 

血圧、体調等を確認し、増殖させた幹細胞を点滴となります。

点滴時間は1時間から1時間半くらいかかりました。

 

再生医療の点滴治療後】

 点滴終了後はそのまま帰宅となります。

2カ月ごとに通院し、神経内科医にALS(筋委縮性側索硬化症)の進行の具合をチェックするそうです。

 点滴後、帰宅する道中に夫は「朝行くときよりも身体が軽く感じる」と話していました。

 しかし、その後もALS(筋委縮性側索硬化症)の進行は進み続けました。

 

再生医療前と後ALSの進行について】

 再生医療の前の身体の様子です。

 右腕    少し上がる

 右手    握力4キロ

 左腕    少しずつ筋力低下を感じ始める

 歩行    一人でも歩ける

 

再生医療から2カ月後の身体の様子です。

 右腕    上がらない

 右手    親指、人差し指が動く

 左腕    肩より上に腕を上げられない

 歩行    数十メートルなら歩ける  

       外出時は車いす使用

 

再生医療から4ヶ月(現在)の身体の様子

 右腕    脱力状態

 右手    親指が少し動く

 左腕    10センチほど上がる

 左手    握力20キロ

 歩行    自力歩行不可

       車いす、歩行器が必須

 

上記のように、病気による身体の筋力低下は変わらずに進行しました。

そして現在も日々進行し、筋力が低下している様子が目に見えてわかるようです。

残念ながら、私の夫の場合、幹細胞を使った再生医療は効果なかったようです。

 

再生医療によるメリット】

 ALSの進行に関してはあまり効果を感じることができませんでした。

しかし、それ以外の所で再生医療の効果を感じることができることもありました。

 

 ・ 身体があたたかく、寒さを感じにくかった。

 この冬は暖冬だったとはいえ、冬は寒いものです。

再生医療により、細胞が活性化したおかげでしょうか?

夫は寒さをあまり感じなかったようです。

今までは毎年履いていたタイツを履かず、薄手のジャンパーで済みました。

ALS(筋委縮性側索硬化症)が進行すると、衣服の着脱もトイレも苦労します。

薄着で過ごせたことはとても助かることでした。

 

 ・風邪をひかなかった

我が家には子どもが4人います。

冬にはどうしてもそれぞれ風邪菌を持ち込んできます。

幸いにも、この冬、夫は体調を崩すことが一度もありませんでした。

再生医療を受ける少し前に、夫が風邪を引いたことがあります。

咳がひどく、痰がからみ、むせてご飯が食べられず、ALSが進行したきっかけになったようでした。

とても苦痛な風邪、一度もひかずに冬を乗り切れ、一安心しました。

 

・ 介護保険、障害認定など社会サービスを受け入れる気持ちになれた

 これが一番大きな効果だったと思っています。

夫はまだ47歳。介護保険を使うということ、他人の介護を受けるということにとても抵抗があったように思います。

 「再生医療で回復したら」

この思いが強かったのでしょう。

再生医療という、大きな賭けをして、その後もALS(筋委縮性側索硬化症)は進行してしまった。

ショックではありましたが、病気を受け入れ、動かなくなっていく身体でどう生きていくかを考えるきっかけになりました。

 実際に、再生医療後に介護認定を受け、車いすや介護用ベッドなどを使うようになりました。

 

【まとめ】

幹細胞を用いた再生医療は夫の場合、ALSに関してあまり効果は感じられませんでした。

それ以外の点では、効果があると感じられるところもありました。

再生医療はまだ始まったばかりで、ALSに対しての治療も効果が多くあれば先進医療として認められていくそうです。

 ALSの進行も個人差が大きく、そのため、再生医療の効果にも個人差がでるそうです。

 決定的な治療法がないALS。

大きな金額がかかる再生医療ですが、何もしないで進行していくより、何かしたい。

そう思って踏み切りました。

結果、大きな効果は感じられませんでしたが、大きな金額を掛けた治療があったからこそ、前向きにALSと向き合えるのだと思います。

 

 

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